「True Love」



過去3作においてAOR名盤を生み出してきたフランク・ウェーバーの真骨頂が今新たな名盤を生み出した。

今回の新作では長年、ジャズピアニストとして活動している彼が本来持っているジャズ・エッセンスとブラジリアン・ミュージックとの絶妙なブレンドにより、心地良いジャズアルバムに仕上がっており、AORで魅せる彼の魅力とは一味違った新しい一面を見ているようだ。


今作の聴きどころの1つとして「Traveling Boy」や「P.S. I LOVE YOU」「PERFECT STRANGER」「THETENDER TRIP」で見せる軽快なボサノヴァ・タッチの楽曲で、先ずは心を掴まれてしまう。フランク・ウェーバーによるアップテンポなブラジリアン・ミュージックは一見イメージが付きにくいが、実際に聴いてみるとこれが実に良くマッチしている。彼の少し控えめなヴォーカルはしっかり自己主張しつつも、決して軽快なサウンドの邪魔をせず聴く人に美しいメロディーを運んでいる。

またそうかと思うと、アルバム全体の魅力であるしっとりとしたジャズナンバーも優しく丁寧に歌いあげている。「I CAN’T BELIEVE I’M LOSING YOU」「TWO SLEEPY PEOPLE」「EVEN YOU AND I」「ANAFFAIR TO REMEMBER」「INSIDE A SILENT TEAR」「SO MANY STARS」は、非常にリラックスして聴ける名曲揃いで、あたかもフランク・ウェーバーがジャズシンガーであったかの如く錯覚してしまうほどに、しっくりくる楽曲ばかりである。更に彼の素晴らしいアレンジ力が発揮されるカバー曲「TRUE LOVE」は、本来の楽曲が持つ甘いジャズスタンダードの要素を活かしつつ、彼の音楽センスの良さが引き立つ逸品である。そして「HOW DEEP IS THE OCEAN」にいたっては、もはやジャズアルバムの雰囲気そのものである。

それもそのはずで、バックミュージシャンに、John Tropea、Mark Egan、Vinnie Cutroといった豪華なジャズ・ミュージシャンを起用するなど、日頃の彼と親交の深い腕利きのミュージシャンが揃えばジャズの名盤が出来るのも納得できる。

今作は、過去のAOR路線とは打って変わり、大人になったAORファンが楽しめるロマンティックなジャズ×ブラジリアン・アルバムと言えるであろう。

聴き終わった後には、実にリラックスした贅沢な時間を過ごした満足感と余韻が残る。フランク・ウェーバーの計り知れない才能に脱帽である。(Night Plane)


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