「Frank Weber」



 1980年にリリースされた2作目のアルバムは、1作目の抒情的な雰囲気を数曲に残しながらも、よりロック色を強める作品に仕上がっている。脇を固めるミュージシャンもジョン・トロペイやデヴィッド・スピノサが所々で参加しているものの、1作目のようなフランクを上手く引き立たせるような有名ミュージシャンを多数起用するのではなくバンドスタイルを取り、ロックバンド的な音作りをしているのがよくわかる。

 その象徴として際立つのが1曲目の「TAKE IT TO THE LIMIT」であろう。もちろんイーグルスの名曲であり本来であればじっくり聴かせるスローナンバーであるが、アップテンポのロック・ポップス調に上手くアレンジしている。恐らく本家のイーグルスファンにもこの遊び心は納得してもらえる出来栄えであろう。また、「THE OLD MAN 」「BETWEEN N.Y. AND L.A.」「WHO WROTE THE ANSWERS」「YOU CAN COME  HOME TO ME」のようにテンポの違いはあるがギターやサックスを強調し、都会的で繊細なサウンドの中にも力強さを感じるところは前作との大きな違いかもしれない。

 どの曲も前作とは多少趣きは異なるがジャズ的要素を踏まえたキャッチーなメロディーに心を奪われる。しかしながら、前作同様に彼らしい優しく、そして美しい抒情的な詩の世界を堪能できる「REFLECTIONS OFMYSELF」「JUST LIKE EVERYONE ELSE」、そしてデヴィッド・ラズリーのバックヴォーカルソロが光る「ONLY FOR TONGIHT」は絶品である。締めくくりとして「BETWEEN N.Y. AND L.A」のインスト・リプライズを加えるあたりに彼のアルバム作りのセンスの良さと2作目の余裕を感じる。

1作目とは違った楽しみ方ができる2作目も、AOR傑作アルバムである。 (Night Plane)


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