「Before You」



　2010年にリリースされた、2作目のアルバム「FRANK WEBER」から実に30年ぶりの新作。彼独特の優しく美しいメロディーは健在であり、前2作より更に大人の雰囲気を表現した落ち着いたアルバムになっている。


　ミュージシャンも旧友のジョン・トロペイに、アンソニー・ジャクソンやルー・マリーニという少人数編成を取り、フランクのヴォーカルやピアノと共に、彼らのサウンドもじっくり聴かせるようなシンプルな音作りである。　楽曲づくりにも前２作との違いがあり、「ALREADY THERE」「ANYTHING BUT NO」「HOW’S AND WHY’S」のように彼流の繊細な感性を通して、客観的な視点から世の中の物事を表現している作品や、恋愛ソングについても「HOLLY」「EVERYTHING WE USED TO BE」のように大人の目線でしっとりと歌い上げる曲調へと変化している。また、ミディアムテンポの「SOMETHING LIKE LOVE」やジャズの雰囲気を持つ「BETWEEN HELLO’S」「LONG,LONG TIME」と多才ぶりは相変わらず称賛に値する。

　更に新作において特筆すべきは、前作から30年の年月の中で彼自身が影響を受け、彼の人生を形成してきた様々な事象や想いが詰まったであろう「THE 100% PERFECT GIRL」「CELESTIAL DANCER(SONGFOR JOHN)」「BEFORE YOU」の3作品が、彼の作品の世界観をより思慮深いものへと進化させている点である。

　全１０曲の1曲、1曲が丁寧に作られていることが手に取るようにわかるとともに、彼の楽曲に対する温もりが伝わってくるようで、全ての作品が心に響く素晴らしい名盤アルバムになっている。 (Night Plane)


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